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硫黄島遺骨収集に参加
今をさかのぼること、ちょうど一年前に皇国史観研究会の会員が、硫黄島での遺骨収集に参加してきた。その時の体験記と報告文を掲載いたします。


 平成十七年二月二十三日早朝、東京をはじめ関東は吐く息も白くなるほど寒い。そこから自衛隊のC-1輸送機に乗ること二時間。東京都小笠原村硫黄島に着いた。

 到着時に昼前になっていたとはいえ、同じ東京とは思えないくらい暖かく、六十年前にここで我が国の兵士二万人が戦死した歴史に残る激戦があったとは思えないくらい長閑な南国の景色がそこにはあった。

 到着初日は島内を見学して回った。青い海では鯨が潮を噴き、青い空には雄大な雲があり、また内地では見た事のない南洋の植物が繁茂しており、なかば観光気分になりそうなところだったが、島のいたるところに慰霊碑が立ち並び、トーチカや錆び付いた重火器の残骸が残っており、浜辺には漂着したゴミに混じって小銃弾がころがっていた。その非日常の風景を見て、かつて、ここで戦争があったことを改めて実感した。

 翌日、朝六時に起床して作業に向かう。作業所は摺鉢山の麓にある独立歩兵第三一二大隊壕跡だった。硫黄島の地下壕はサウナのように暑いと聞いていたので覚悟していたが、この壕は通気性が良く、思いのほか涼しくて広かった。しかし、防塵マスクにヘルメットという装備で作業をしたため、忽ち汗が流れ出した。土砂をかきだすだけでも大変だというのに、先人は半年にもわたる連日連夜の空爆と艦砲射撃の中、不眠不休でよくぞ総延長十八キロにわたる地下壕を掘ったものである。硫黄島に散った先人達の凄さに改めて深く畏敬の念を感じた。

 作業は二十四日から二十六日まで、朝八時前から昼休みを挟んで午後三時まで行われた。作業のやり方は壕内の土砂をかきだしてミノザルで運ぶというものであった。当初はこのようなことをしていて御遺骨が見つかるのだろうかという思いがあったが、亡くなられた方の遺品と思われる靴が一足でてきた。靴はボロボロになっていて時間の流れを感じさせた。

 そして、その靴の近くから砕けた頭骨の入った錆び付いた鉄兜が見つかったのを機に続々と御遺骨が出てきた。自分と一緒に作業をしていた遺族の方が小さな声で「親父じゃあるまいか…」と言って、必死で土砂をかきだし、埋もれた御遺骨を丁寧に探しはじめた。自分はそれを見て思わず涙が流れた。自分もまた土砂に目を凝らしながら我を忘れて作業に没頭した。

 また、自分の作業していた所では大量の武器弾薬が出てきた。麻袋五、六個に相当するくらいの黄リン火薬とミノザルでかき出さねばならないくらいの錆び付いた小銃弾。それから錆び付いた銃剣と軍刀。一番印象に残っているのは火炎放射器でやられたのか、黒く炭化して、着ていた衣服がこびりついた御遺骨の側から出てきた三八式小銃である。

 その小銃はボロボロに朽ち果て、木材の部分は既に無く、金属の部分は錆で膨れあがっていたが、開いたままの薬室には実弾が装填されていた。もはやどう見ても発射できない銃となっていたが、この銃の持ち主の最期の抵抗をすることも、壕内に出ることも叶わず焼き殺された無念さを思うと何とも形容し難い気持ちになった。

 精魂を 込め戦ひし人未だ 地下に眠りて 島は悲しき

 平成六年二月十二日に硫黄島に行幸啓遊ばされた 天皇陛下の御製である。硫黄島に派遣される前に硫黄島について勉強していた時に少し拝しただけのこの御製が、この小銃と御遺骨を見た瞬間に思い起こされた。

 硫黄島最終日の三月一日、自分は明日の離島なので見送り。派遣団員一人一人に丁寧に抱えられるように持たれた御遺骨二十柱が自衛隊輸送機に向かうと儀仗兵の捧げ銃と海ゆかばがそれを送った。

 海ゆかば 水漬く屍 山ゆかば 草むす屍 大君の辺にこそ死なめ かへりみはせじ

 自分が今回の硫黄島派遣に参加できたのは母校國士舘の先輩方との絆があったからこそであるし、遺骨収拾が行われているのは遺族の方々には肉親としての絆が、そうでない者には同じ日本人同胞としての絆があるからである。硫黄島をはじめ先の戦いで亡くなられた方々が命に代えても守ろうとされたのは、 天皇陛下を戴き、過去から現在、そして私達のいる未来へと繋がっていく、この数えきれない多くの絆で結ばれた共同体である。

 これこそが「大君の辺」ではないだろうか。この「大君の辺」を絶やさないためにも、私たちは戦没者をはじめ先人達に誠意を持って向き合う事はもちろん、未来を生きる人々に、この絆を伝えて行く事が求められているように思う。


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by shikisima594 | 2006-02-28 21:37 | 活動報告
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