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東京大空襲遺族が国を訴訟!?
 昭和二十年三月十日、米軍は敗色濃厚となつた、日本の首都東京に、無差別爆撃を行ひ、一晩の内に民間人十万人を虐殺した。これは当時の国際法にも違反したもので、明確な戦争犯罪であつた。一瞬のうちに幸せな暮らしを奪はれ、己の肉体と家族を灰された人々の無念は察するに余ある。

 この無差別爆撃を指揮した、カーチス・E・ルメイは、「日本の家庭は日頃から軍需物資を生産しているから、軍事施設である」といふ理屈で罪も無き民間人を虐殺したのである。しかも、ルメイは、後のベトナム戦争で北爆を推進し、ベトナムの民間人をも大量に殺戮した人物である。

 戦時中・戦後直後の日本人が、彼を「鬼畜ルメイ」と形容したのは、的確な表現であると思ふ。当然ながら、そのルメイが指揮した、東京大空襲はアメリカによつて行はれたものである。

 しかし、今日の朝日新聞を読んで驚いた。この東京大空襲の被災者と遺族でつくる「東京空襲犠牲者遺族会」が、今年の八月に、国を相手に損害賠償と公式謝罪をするやうに求めて裁判を起こす用意を進めてゐるといふ。

 東京大空襲の被災者による集団提訴ははじめてであると書いてゐるが、前代未聞だ。既に弁護士十人からなる弁護団に参加する予定であるといふ。この訴訟の根拠となつてゐるのは、軍人・軍属には補償がなされるのに、一般人には何の補償もなされてゐない、といふ、補償の格差である。

 確かに戦争の犠牲になつた民間人に、なんらかの有形無形の補償はなされなければならぬと思ふが、それにしても、おかしな話だ。東京大空襲は通常の戦争行為とは異なり、民間人虐殺を目的とした、アメリカによる明確な戦争犯罪だ。

 その犠牲者について、日本政府がどのやうに「公式謝罪」するといふのか。

「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。
 私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。
 敗戦の日から50周年を迎えた今日、わが国は、深い反省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し、それを通じて、平和の理念と民主主義とを押し広めていかなければなりません。」

 これは、平成七年の敗戦無念日に、時の村山総理から出された、所謂「村山談話」だが、この談話は、日本がアジア諸国との関係の中で、多々議論のある事柄について謝罪しているのに対し、今回の問題は、議論の余地も無いアメリカの行為を日本が謝れと求めてゐるものだ。

 この訴訟が、どのやうな結果になるのかは分からないが、私は注意して、この訴訟の流れを見てゐたい。もし、仮に、彼らがアメリカ政府を訴へるといふのならば、私は全力で応援したいのだが…


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by shikisima594 | 2006-03-05 23:16 | 随想・雑記
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