『私の昭和史―戦争と国家革新運動の回想― 』
f0018981_21341174.jpg著者の中村武彦先生は大正元年の生まれで、戦前戦後の激動の昭和に国家革新運動を戦われた方である。残念ながら今年の9月30日に、亡くなられた。享年92歳。

この本は、中村武彦氏の遺著となってしまったが、激動の時代昭和の回想と、老いてなお維新に対する情熱が溢れており、貴重な時代の証言であると共に、次の時代を担う若者への素晴らしい贈り物である。

中村氏が維新運動に入るまでの心の移り変わり、満州事変、神兵隊事件、五・一五事件、二・二六事件、大東亜戦争、そして敗戦から戦後までの維新運動を回想している。
特に、氏が國學院大学に入学して維新運動に入る箇所などは、遠く及ばないが、今の自分とも共通するものがあり面白く、獄中で敗戦を迎えた時の事を読むに及んでは、思わず涙が流れてきてしまう。

そして、随所随所に時の政権に対する鋭い批判が書かれている。今の我々は大東亜戦争を肯定しようとした時、ややもすれば時の政権の誤った政策から目を逸らしてしまいがちだが、このような維新者の厳正な視点を欠いてはならない。時の政権が愚かなのは今も昔も変わらないことではないだろうか。

また、中村氏が維新運動を戦っていた戦前の時代風潮に、近年の時代風潮が酷似してきているように思われる。富を持つ者が驕り高ぶり、貧しき者が苦しみ、為政者は無為無策を続けている。そして、共産主義運動は衰退し、国家主義革新運動が台頭してくる。
そうした意味で、この本は決して過去の過ぎし時代の単なる回想書ではなく、我々に多大な示唆を与えてくれる、次の時代への参考書であると言える。

現在、展転社から発売されている。
http://tendensha.co.jp/daitoa/dai266.html

皇国史観研究会代表 タカユキ
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by shikisima594 | 2005-12-15 15:05 | 読書録
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