『侵略の世界史』
f0018981_0132957.jpg 昨日の記事「アメリカ政治家の靖国批判を笑う」で紹介したが、アメリカ下院議員のハイド氏(共和党)が靖国神社の遊就館の展示について「(大東亜戦争が)西洋帝国主義の支配から解放するためだったと若い世代に教えているのは困ったことだ」「この博物館(遊就館)で教えられている歴史は事実に基づいていない。是正すべきだ」と発言した。

 親米保守派いわく「親日」の共和党をしてこれだから、民主党の認識やアメリカ人一般の認識など推して知るべしだ。とくに植民地経営で莫大な利益をあげていて、日本のせいでそれらの利権を一瞬にして失い、没落したヨーロッパ諸国もこれと同じような考えであろう。

 では白人達は実際に何をしてきたのか。そしてそれに対して日本はどうしたのか。近年再び、何かと槍玉にあげられる東条英機元総理は東京裁判の証言台で、アヘン戦争にまでさかのぼって審理してみなければ現代史の審判は不可能だと言った。さすが「カミソリ東条」と呼ばれた男だ。

 まさにその通りで、戦争とは相手が存在して成り立つものであり、その相手と自分を含めて取り巻く環境を考えなければ公正な審理は期しようがない。この『侵略の世界史』(祥伝社黄金文庫)は今から八年前に出版された本で、小林よしのり氏の『戦争論』に続き、ベストセラーになった。

 副題が「この500年、白人は世界で何をしてきたか」とされていることからもわかるように、内容は徹底して白人が世界中で行って来た蛮行を事細かに、わかりやすく書いている。著者の清水馨八郎氏は千葉大学名誉教授で大正八年の生まれだ。

 しかし、とても高齢とは思えないほど文章が冴え、正気に満ちている。自分は清水氏の講演を間近で聞いたことがあるが、意気天を衝く、といった感じで、とても八十を過ぎた方には見えなかった。統一協会関係者との噂もあるが、それを差し引いたとしても純粋に面白かった。

 従来の大東亜戦争肯定論や白人帝国主義批判よりも更に視点が細かくて深いことに驚かされる。いまこうしたブログをやっているような二十代の若い感性を持った者から出て来てもオカシクないぐらい視点が斬新だ。

 例えば、白人が侵略的な理由を歴史、宗教、風土にいたるまで原因を求めている。風土に関していえば、ヨーロッパは寒冷で日照時間も短く、土地も耕作に適さない堅い地面に覆われている。このことから作物が豊富に取れず、収穫よりも略奪の方が生存のために効率的であると考えられるようになる。などなど。

 宗教では人と動物を完全に別のものと考え、収奪の対象とみなした。大航海時代の到来により、この対象に有色人種が加わり、産業革命により労働者階級が加わえられた。その結果が資本主義的収奪に支えられた帝国主義による植民地拡大に他ならない。この書を読んで、ハイド議員をはじめ、日本に罪をなすりつけようとする姑息な白人達の詭弁を粉砕しよう。

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by shikisima594 | 2006-09-18 00:44 | 読書録
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