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余は如何にして皇国史研になりし乎 第二回 タカユキ編
余は如何にして皇国史研になりし乎 第二回 タカユキ編_f0018981_0591571.jpg 今回は皇国史観研究会現会長に、当人の下宿で取材を行った。平成十七年十一月十一日に会長に就任して以来、十人十色を極める皇国史観研究会を現在も、まとめている。その会長はどうして今のようになり、何を考えているのか。

聞き手 タカユキさんは平成十六年度入学以来、大変活発な活動をなさっていますね。ではまず、ご出身はどちらですか?

タカユキ 西日本とだけ言っておこうかな。

聞き手 今のような考えに至るまでを、簡単にお願いします。

タカユキ 中学校の時に図書館でね、本を読んでたんだよ。分厚い「二十世紀の出来事」みたいな本だよ。その中に昭和三十五年の十月十二日の出来事としてね、山口二矢烈士が浅沼稲次郎をブスッと刺してる義挙の瞬間の写真があったんだよ。その下のキャプションに「浅沼稲次郎を刺殺した十七歳の右翼少年」ってあったんだ。
 これ見て「あっ、すげえな!」って思ったんだ。その時、僕は十四歳でね。自分より僅か三つしか歳が違わない少年だよ。世の中では十七歳の少年による事件が沢山あった。あの西鉄バスジャック事件とかね。その現代の少年たちと比べてね、「あぁ、この当時の少年ってすごいなあ」って思ったよ。
 それでちょっと読み進めてみたら「事件後少年は鑑別所で自殺。壁に七生報国・天皇陛下万歳と書き残してあった」とある。
その頃は特に思想とかは無かったんだけど、こういう風に自らの思想に命を捧げて、死を選択するっていう「衝動」はどこから出たのかなって思ったよ。
 それでまず「右翼」っていう思想にとても興味が湧いたんだよ。それで色々本を読んでいたんだけど、具体的に「右翼」ってどの様な人の事を指すのか分からなかったんだよ。
でも中学校の先生、女性の副担任だったけどその人が「小林よしのりって人が『戦争論』って本を出してるから是非とも皆さん読んでみましょう」って言われたんだよ。

聞き手 素晴らしい先生がいたもんですね。

タカユキ それで『戦争論』を読んでみたんだよ。もう自分の歴史観や人生観が一気に変わったね。読み終わるのに一時間か二時間かかったけど今までの人生の中で一番強烈な一時間か二時間だったかな。

聞き手 やはりあの本の影響は大きいんですね。

タカユキ それで昔のゴーマニズム宣言も読むようになった。すると漫画の枠外に「ワシは右翼の赤尾敏や野村秋介の言う事も分かる」ってなことが書いてあったんだ。
赤尾敏って誰だろう?野村秋介って誰だろう?と思って図書館の人物辞典を引いてみたんだよ。

タカユキ 「野村秋介」って欄があってね。「河野邸宅焼き討ち事件・経団連襲撃事件を起こす。後朝日新聞社にて自殺」と書いてあったんだ。その時は既に亡くなられていたけどね。
そしたらその下に「主な著書・・・『さらば群青』」と出ていて、調べてみたら野村先生が最後に書いた遺書の様なものだ、と書いてあったんだ。古本屋で探したらすぐに見つかったよ。これが中学三年生の頃だな。

聞き手 あれはかなり分厚い本ですよね。

タカユキ 分厚い本だよ。ずっと読んでいたらね、高校受験失敗したからね(笑)
高校二つ落ちた(笑)

聞き手 高校受験も眼中に入らない程『さらば群青』に魅了されたって事ですね。

タカユキ でもやっぱり読んでいてすげぇなあって思った。思想もそうだし生き様もそうだしね。高校は三流のヘンなとこ入ったけど、宿題とかほとんど出なくてね。だから本ばっかり読むいい機会だったよ。

タカユキ それでとある雑誌を読んでいたらね、国士舘高校出身で、いまは一水会会長の木村三浩先輩が昔の国士舘の記事を書いていて「うわぁ、こんな大学があるのか!」と思って国士舘大学に行くことにしたんだよ。
後年、木村先輩に「木村さんの記事で国士舘に入りました」って言ったら「君の人生を誤らせちゃったなぁ」と笑っておいでだったよ(笑)
『大義』を知ったのもその頃だね。

聞き手 杉本五郎中佐の『大義』を知ったのはその頃ですか?

タカユキ とあるきっかけで知ることになってね。いやあ凄かったね。雷に打たれたような衝撃とでも言うかな。何だろうな、うまく言葉に出来ないけど、自分が今まで「愛国」だとか「尊皇」と言ってきた事がただのファッションにしか思えないような、その「愛国」「尊皇」だとか言う事に人間が持てる全精神を傾けた著書でね、今まで『正論』とか『諸君!』とかも読んできたけど、そんなものが大した事無いなと思えるくらいの凄い文章だった。それでね「この生き様に人生賭けてやろう」って気になったね。

聞き手 そういう思想を持つにあたってご両親の反応は如何でしたか。ご両親は何か政治思想などお持ちだったんでしょうか?

タカユキ ノンポリだよ。左翼でもないし右翼でもない。本当にいい意味で言うところの「庶民」だね。「大衆」ではなかったよ。線引きは難しいけど。僕がこういう考えを持っても「それはダメだ!」とは言わなかったよ。

タカユキ 大学もね、国士館落ちたら大学行かない!って決めてたからね。だから国士舘以外受けてないんだ。推薦で受験を受けた時、小論文の題材が「拉致問題について自分の思うところを書きなさい」というやつだったんだよ。さすが国士舘!って思ったよ。(笑)
その直前に拉致問題についての本を二、三冊読んでいたからスラスラッと書けたよ。そして案の定合格!ってことになって凄く嬉しかったよ。

聞き手 なるほど。それで晴れて国士館入学!ってことになりましたけど、実際入学してみて自分の今までイメージしていた国士舘と現実の差っていうのは如何でした?

タカユキ 僕が思い描いてた国士舘ってのは雑誌で見た、いわゆる「当時の国士舘」であって、ものすごい期待して入ってみたら、茶髪もいるし渋谷徘徊してそうなチャラチャラした奴もいるし、「何だこれは!?」と思ったよ(笑)

タカユキ そしたらその矢先に、国士舘で最も蛇腹の似合う先輩と言われる某W先輩にばったりお会いしてね、皇国史観研究会もあって、「やっぱり国士舘だな」って思ったよ。
そしてそこには某Y先輩という方がおられて、お宅を訪ねたら壁には日章旗と旭日旗と教育勅語が貼ってあってね。蛇腹も吊るしてあったんだけどそれに「八紘一宇」って刺繍がしてあって「すげぇ、さすが国士舘!」って改めて思ったよ。感動だったよ。

聞き手 勉強の方についてお伺いしたいんですけど、今こちらにあります本棚を見ますと「共産党」やら「創価」やら、皇国史観とはかけ離れたものが随分あるようですがこれは一体?

タカユキ 「敵を知り己を知らば百戦危うからず」って事だよ。例えば今の論壇誌に「共産主義ってのはこんなのだ!」とか書いてあるけど、そういう連中の言う事は本当なのかなって、まず思ったんだ。
スターリンが何人殺した・毛沢東が何人殺したとも言うけれど、じゃあその思想自体には何が問題あるのかなってところが欠けてたんだね。実際に何冊か読んでみたら「共産主義は死んだ」とか言われてるけど「共産主義は資本主義がある限り絶対死なない」と、当時マルクスがあれを言ったのは極めて正当であるって感じたよ。
共産主義を真に解体するならば資本主義をどっかで解体するなり是正するなりしないといけない。つまり「敵」って言われるものが如何なる者なのかって言うのをまず知らなきゃいけないし、それから護るためには私たちには何が必要かって言うのを見据えなきゃいけない訳だよ。

聞き手 なるほど。しかしそういう自分達の思想とは反対の主張っていうのは読み辛かったり、腹が立ったりしませんでしたか?

タカユキ そういうことはなかったよ。むしろ共産主義暴力革命にまで人民を思い詰めさせてしまった資本主義っていうのに腹が立ったよ。それに昔の僕は「共産党大好き人間」だったしね。

聞き手 えっ!?それはどういうことですか?

タカユキ 僕は小学生から生まれてこの方、自民党っていうのが大嫌いでね、それをずっと批判していた日本共産党っていうのは好きだったよ。親に「赤旗とって赤旗とって」ってお願いしてたくらいだからね。『はだしのゲン』の影響もあったかな。

聞き手 何と。西日本とは昔から反日教育が盛んだと言われてますがタカユキさんの地元は如何でした?

タカユキ 僕の地元では幼稚園の時から国旗掲揚や国歌斉唱もしていたからね、そんなには感じなかったよ。先生に日教組の偏った奴はいたけどね。そういう教師がいることより、学校の図書館に『はだしのゲン』やら『火の鳥』がおいてある方が問題だと思うがね。学校の図書館には『戦争論1・2・3』置いておけばいいんだよ。

聞き手 皇国史観研究会に入会してからは如何でしたか?

タカユキ 濃い思い出はいっぱいあるな(笑)
とにかく入ってびっくりしたのは、いかにも国士といった感じの蛇腹に角刈りの先輩がいたり、国民服を着て授業を受ける先輩がいたり、ネオナチのファシストや、昔の大陸浪人みたいな人や、軍事マニアまでいたりね。かと思えばアキバ系みたいなのもいたり「何なんだこの集団は!?」って感じだった(笑)
普通なら絶対一緒にはいないだろうなって人たちが組織を形成して運営してるって言うのが、スゴいカルチャーショックだったよ。(笑)
進級したらまた変わった人たちがいっぱい入ってきたし。だからそれ以来、多少の事では驚かなくなったね。先輩達が「皇国史観研究会は度胸と根性が付く」って言っていたけど、確かにその通りだなと思うよ。これは裏を返せば多少の事には驚かない肝を持ってないと、皇国史観研究会員としてやってけないよ。

聞き手 タカユキさんが入会されてからの活動として『敷島だより』発行がありますよね。この経緯についてお願いします。

タカユキ 平成十六年に国士舘サッカー部が事件を起こしたでしょ。それで義憤を感じてね、前から壁新聞の話はあったんだけどこれを契機に僕が編集代表ということで作ったんだよ。絶対学生課から掲示許可の判子もらえないなって思ったけど貰えたよ(笑)
みんなで記事を書いて編集して、印刷して判子貰って、コピーして、月曜になったら各キャンパス教室棟に行って張り替えてって・・・。それを毎週やってたよ。
十四号の時、僕の原点である山口二矢烈士の記事を載せたらそれに“反革命”学生部からクレームがついて廃刊処分だよ(怒)
まぁ今はブログがあるからいいけどね。

聞き手 うちの大学は特にそうだと思うんですが、そういう大学の体質っていうのにはどう思われますか?

タカユキ 事なかれ主義・営利至上主義ってものが今の大学には行きわたってるね。大学ってものを就職教育だけの企業にしてしまっているよね。
大学から泥臭さや独特のアナーキーさやらを消し去って管理されたニュートラルなつまらないものにしてしまっているね。
今年三月の法政大学学生弾圧事件だって、逮捕・退学にされたのは自分達で勉強して考えて行動していた学生たちであってね、思想は違えどもそういう主体的な学生ってのには親近感は感じるな。
今の大学の何事もありませんようにって願う官僚的な策動から全国の学生は団結してね、これを打ち砕かなくてはいけないと思うね。

聞き手 特に国士舘は創設に柴田先生や頭山満先生方も迎えた比類なき学校ですからね。

タカユキ 全くだよ。それを思うと今の体制は冗談じゃないね。どうでもいいような勉強をして単位とって就職活動して、卒業していい企業に就職してっていう人間を大学側は期待してる訳だ。でも、それだけだと家畜小屋や商品じゃないんだからね。「我々は家畜じゃないんだ」という声をしっかり挙げていかなきゃいけない。ましてや国士舘ならば国士を育てるべきなんだよ。

聞き手 そこで目指すものというのは何でしょうか?

タカユキ まず学生に限って言えばね、社会の事象に関心をもって、僕らとは考えが百八十度違っていてもいいから声を挙げていこうってことだよ。そして、我々の護るべきものはやはり日本であって国体であって、そこに回帰していけばいいな、私達がその先駆けであろうって思うね。

聞き手 尊敬する人物を何か挙げてもらえませんか?

タカユキ いっぱいいるね。生きてる人でも両手じゃ足りないよ。でも尊敬する人に共通することは日本の為に活動している人たちだよ。まかり間違ってもアメリカや中国の為に活動してる奴らは尊敬できないよ。代表的なのは大楠公、大西郷、吉田松陰先生かな。嫌いな人間もいっぱいいるけど(笑)

聞き手 ではその嫌いな人たちとは?

タカユキ いわゆる「保守」と言われる人たちの中では中川八洋・古森義久・田久保忠衛・岡崎久彦・西尾幹二かな。

聞き手 いずれも『正論』や『諸君!』で執筆しているような方々ばかりではないですか。

タカユキ あれはね、あの人達は太平洋のどっち側に立っているのかと、問い詰めたいね小一時間。マジで。こういうとお前は朝鮮か中国の手先かって言う奴がいるけど、だからそういう思考こそ朝鮮の事大主義と同じなわけ。(笑)
こっちは日本に立ってるんだ。基づいてるんだ。あいつらは髪を金髪にして青いコンタクトでも入れたらどうなのかと。あまりに親米にすぎると。

聞き手 親米に過ぎる。

タカユキ 僕がさっき挙げたのはね、彼らが護りたいのは国民の生命財産であり自由主義であり民主主義なんだよね。もちろん生命財産は大切だよ。自由主義・民主主義もまぁ大切かもしれんよ。でもそれは目的ではなく手段なんだよ。
日本が本当に護らなきゃいけないものってのは国体なんだよ。彼等の口からはそれが出てこないよね。西尾幹二なんか「反共」を言いながら共産党の造語である「天皇制」って言葉を連呼してる。ギャグだね。
サヨクってのは放っといても勝手に自滅すると思う。でもこの時局に勢いを増しているのは保守とされるものであっても、その中で本当は保守ではない、ただの親米反共の言論屋がいっぱいいるわけだよ。本当に日本の事を考えるならば、まずそいつらをどうにかしなきゃいけないって思うね。

聞き手 「この時局」と出てきましたが、日本は今右傾化しているとよく言われますね。それについてはどう思いますか?

タカユキ 僕は本当に右傾化してるのかな?ってちょっと疑問なんだよ。『戦争論』などが広めたともいえるけど、それ以前にインターネットによる言論の結びつきってものがあったんじゃないかな。
で、それはただ単なるマスメディアに対する「大衆の反発」であってね、そういう人たちを追及しても結局は反韓国・反中国ってことであって、その議論がループするだけなんだ。
天皇とか国体とか、我々が帰るべきもの、拠るべきものの意見ってものが全く出てこないじゃない。大衆が指向するものが変わったってだけであって、右傾化とはまた違うんじゃないかな。「浅薄な右傾化」って意味だったらナルホドな、とは思うよ。

聞き手 拠るところ無き議論とは所詮はお遊びに近いんですね。

タカユキ 馬鹿なサヨクがね、「小泉首相を支持する奴は右翼だ!」って飽きずに言ってるけどさ、おかしな話だよ。小泉はこの日本の共同体社会を破壊して上流か下級かに国民を分けてしまったんだよ。そんな奴が決して本当の愛国者や維新者や尊皇家であるはずはないんだよ。

聞き手 そして地域社会やらなんやらを護ろうとしてるのが日共であったりするわけで、とんでもないねじれ現象です。

タカユキ そうだね。芯が無いように感じるな。小泉首相がただ靖国神社に参拝すればいい!と言う人もいるけどさ、その小泉首相がどういう歴史認識で参拝しているかといえば村山談話を踏襲したまんまなんだよ。英霊を侮辱してるよ。
そんな歴史認識を持った人の参拝なんて決して支持できないね。

聞き手 では最後に、この国の目指すところは?

タカユキ 僕たちが今こうして居るっていう結びつきがあるでしょ。それが小さい日本であるとして、そういう小さい結びつきをどんどん作っていくこと、我々の日本ってものを核にそえた結びつきってものを深めていくことによって、日本っていう本当の共同体を立て直して再建するってことじゃないかな。

聞き手 どうもありがとうございました。

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by shikisima594 | 2006-09-23 01:09 | 対談・座談会
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