今年は干支でいえば亥年になる。猪と聞けば、いま各地で里に下りて来て農作物を食い荒らしたりして問題になっている害獣と思われがちだが、古の日本では神の使いとすら考えられて来た。言い伝えの中で最も猪の神聖さがあらわれているのが、忠臣和気清麻呂公(写真)の話だろう。 今から約千二百年前、女帝孝謙天皇の御代にあって、皇位を狙う弓削の道鏡という怪僧があらわれ、孝謙天皇にとりいって朝廷で絶大な権勢をふるった。そのうち、宇佐八幡宮で「道鏡を天皇にすれば国がよくなる」との神託が出たということで道鏡は一挙に天皇になろうとの画策を強めた。 その際に、和気清麻呂公が神託の真偽を確かめるとの大命を受け、単身で京から大分の宇佐八幡宮まで参った。その険しい道中の最中にどこからともなく三百頭以上もの猪があらわれ、和気清麻呂公をお護りしつつ、宇佐八幡宮に案内するということがあった。 和気清麻呂公は宇佐八幡宮の神前に伏して祈った。やがて神があらわれ、「天つ日嗣(皇位継承)には必ず皇統の人を立てよ、無道の人は早く払い除けよ」との神託がくだり、和気清麻呂は帰京してありのままを告げた。道鏡は激怒し、和気清麻呂公は島流しになったが、やがてこの事もあって道鏡は失脚した。 こうした事から、猪という生き物は神の使いにして、国体を護り、尊皇の忠臣を導くものと考えられて来た。和気清麻呂公の尊皇精神の熱情が、やがて猪の姿をした神のご加護により、天に通じ我が国の国体は護られたのである。 そして亥年である今年、皇室を中心とした我が国の状況を俯瞰すると、まことに慚愧の念に堪えず、悲憤慷慨やむところ能わざる状況である。皇室を蔑ろにし、祖先が営々と護って来た国柄を汚して貶めることが、ひとつの知的営為であり、格好イイことのような風潮が確実に存在する。 去年の十一月に週刊金曜日主催の集会で、ご周知の通り、皇室を徹底して誹謗中傷し侮辱し、笑いのネタにするという許し難い茶番劇が繰り広げられ、多くの心ある国民の憤激するところとなったが、それすらも内心で拍手喝采したり、同情する者がどれほどいることか。 あるいはそこまでいかずとも、皇室を軽んじることを知的証しと履き違える学者やエセインテリ、評論家がどれほどいることか。いまでこそ皇室の存続を望む声は九割あるとはいえ、皇室軽視の風潮が続けば遠からぬ未来、確実に皇基は揺らぎ、やがて崩れる。そうなった時、日本は日本ではなくなる。 同様に、現在の皇位継承の問題もかつて小泉総理が皇室典範改悪を画策していたときは盛んに皇統を守る手だてと皇室と日本人のあり方が論じられたが、いまは声のトーンが下がり、すっかり忘れられているのではないかとすら思えてならない。 戦後以来、皇室に対し奉る議論の噴出ぶりには歴史上未曾有のものがあり、ややもすれば我々はそれから眼をそらしがちになるが、敢然と向かい合っていかなければ皇基を護ることはできない。 例えば、かつての戦争を知る老人世代が云う戦争責任論にどう答え、団塊の世代などの日本国憲法の国民主権を楯にとった天皇軽視の傾向にどう反論し、若年世代が抱く皇室を敬う必要性への疑問にどう応じて行くか。尊皇精神を抱くもの全ての課題であろうと思う。天皇陛下万歳を云うは易いが、天皇陛下万歳にせしむるは難い。 ゆえに、今年一年、自分としても、また志を同じくする者も、亥年ということにちなんで、皇基を揺さぶる者たちへの反論や筆誅に力をいれ、その他の方策も講じて、平成十九年という年を、皇基を盤石たらしめる年にしようではないか! タカユキ 皇基を護れ!という方は応援のクリックを!!
by shikisima594
| 2007-01-20 21:57
| 随想・雑記
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