これからどうなる?日本の介護
 今年の6月6日にグッドウィル・グループの福祉介護「コムスン」が、厚生労働省から介護サービス事業所の新規及び更新指定不許可処分を受けたのはご存じであろう。

 コムスンは訪問・在宅介護を中心に業務を展開し、去年の半ばには施設系介護サービスも始め、こちらでも大手になった。

 去年の暮れに実際に勤務していないヘルパー等を常勤として、介護報酬を不正に請求したとして介護保険法に基づき東京都は調査を行い不正が発覚。今年の4月に東京都が業務改善勧告を出し、都内の三事業所に対して指定取消処分が行われようとしたが、同日中に廃業届を提出して処分を逃れるという、人を介護する企業の姿勢でない行動に出た。

 これと同じ行動が岡山・青森・群馬・兵庫・神奈川県でも確認されており、各県当局は処分逃れと疑っている。これらの件を受けて、厚生労働省はコムスンの介護施設について事業所の新規指定・更新の受付停止という処分を発表したのだが、連結子会社の「日本シルバーサービス」へ事業を譲渡しようとした。

 これに見かねて「法律的には問題ない」としながらも、翌日の7日にコムスンの樋口社長を呼び、「事業譲渡は到底国民・利用者の理解を得られない」として行政指導を行い、外部への事業譲渡という事になった。

 しかし、一括して事業を引き受ける企業は今のところは存在せず分割譲渡が現実的とされ、訪問介護は以前より大手であったニチイ学館が、施設介護は外食産業の大手で施設介護も手がけるワタミが有力な引受先とされている。

 そこで2つの疑問が生じる。何故コムスンは不正を始めたとされる時期に施設介護事業に乗り出したのか?何故ワタミは施設介護を買収したいのか?

 その原因には去年の4月に行われた介護保険制度の改定によって、在宅介護の収益性が大幅に悪化したことにある。実は、コムスンも今年の6月期は20億円の赤字が見込まれていて、それを避けようとして施設介護事業に介入していたようだが、今回の問題で信頼が地に落ちた。ワタミが施設介護のみを引き受けようとしているのもそれが原因だろう。

 介護保険制度改定で損をしたのは企業の方だが、その企業が存続出来なくなるほどの損害を出させては本末転倒だろう。さて、そもそも何故これ程までに企業が介護事業に手を出すのか?

 近年の高齢社会にも原因があるだろうが、国の政策で医療制度に関する費用削減が大きく掲げられており、その削減の中心に医療介護がある事が原因の1つに思えてならない。

 今年の4月に、来年度から始まる国の医療制度改革として全国の病院から病床を5年間で35万床から15万床にするとして、35万床の内12万床に及ぶ介護病床をすべて削減するという。

 確かに国民健康保険等の医療保険費が削減出来るだろうが、これでは国が自治体や企業にその分の介護保険費や介護費用を押しつけているように思えてならない。介護保険の25%は確かに国が負担しているが、被保険者の数から国民健康保険の支出に比べたら少ないだろう。

 樋口社長が様々なテレビ番組で謝罪を続けているが、コムスンの親会社であるグッドウィル・グループの株価は低迷し続けている。自業自得と言えばそれまでだが、原因はコムスンの経営陣だけであろうか?

 今回の事件の以前から、世界でも随一の高齢社会である日本で、社会保険庁による保険金の流用や年金記録紛失問題をはじめとする保険関連のトラブルが続発している。この事は許し難いものであり、日本政府は速急にこれらの問題を解決するべきだ。

 文責 洗国

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by shikisima594 | 2007-06-12 23:58 | 随想・雑記
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