写真右、ムネカミ 写真左、タカユキ ムネカミ さて、今回の話題は、反米というのから離れてみたいと思います。我々はどうやって 他国からのパクスに対して、どうすればよいか、ということです。よろしくお願いします。 タカユキ この問題に関しては、完全に君が第一人者だから、僕は専ら聞き手に回るよ。前回は欧米風文化が日本文化をはじめ、世界中の文化に侵蝕しているということを話したんだったね。 ムネカミ 前回、先輩がモノに人に英語の名前をつけるのが病的といいましたが、僕はそうは思いません。むしろ、洒落た感覚を持ってる人なら、当然な感覚の内に入るんじゃないですか。 タカユキ いやいや、洒落た感覚を超えて、そうあるのが当然といった雰囲気があるじゃないか、そうした意識が僕はおかしいと思うんだよ。 ムネカミ 確かに一般の人でもそれに抵抗ある人はいます。僕は別にどっちに与するという話じゃなくて、ひとまずどっちも「普通」なんじゃないかと思ってるんです。 そして、重要なのはそこなんです。アメリカにせよ他のヨーロッパ系の国にせよ、世界の若者の「憧れの対象」になることで、文化的な影響を保ってきた。 タカユキ まぁ、うちの会員の中にも、訳の分からん英語の入った服を着ている奴が何人かいるからなぁ(笑) ムネカミ 事実、彼らは日本の中で、「カッコイイ」「カワイイ」の世界を制しています。アメリカだと、映画や音楽等多岐な分野から美術・芸術的なアプローチを行い、若者がこれに影響されます。繰り返しますが、芸術的な感覚がさえていればさえているほど、この影響は受けやすくなります。要するにお洒落な人ほど向こう側の文化が、ファッションに取り入るということなんです。これは、仕方ないことのように思われます。 タカユキ 隣の花は赤く見えるだっけ?美的感覚とは飽くなき「ないものねだり」なのかな。 ムネカミ じゃあ日本の文化に侵食しているそれらを具体的にあげてみましょう。どういうことが基準視点になるのかというと、若者たちの娯楽が、どこの国よりなのか、ということです。簡単ですね。 タカユキ まぁ、ヨーロッパ・アメリカ文明の産物だね。 ムネカミ ファーストフード文化はどこでしょう。 アメリカ映画は名前の通りアメリカですね。 タカユキ 映画の最高峰の代名詞がハリウッドとオスカーだもんね(笑) ムネカミ では、高級なイメージある料理はどうでしょうか?フレンチ、イタリアン、エスパニョール等ですね。先輩が好きな音楽は何でしたっけ? タカユキ 軍歌とユーロビート、トランスかなぁ。一年生の時はよく先輩達に六本木のベルファーレにも連れて行ってもらったよ。 ムネカミ 僕はドイツのトランス系テクノよく聞くんですが、音楽はどうやら日本のものは無いようですね。アンティークや建築やファッションの「正統的」な、モノ。これらはどこから来たかというと… タカユキ これもヨーロッパだね。この前、僕がノーネクタイでいると、自称保守が「ネクタイをしないとはサヨクだ」と真面目にイチャモン垂れて来たけど、おめぇはネクタイがどこの物か知った上で物を言うとんかいとね。まぁどうせポチホシュだろうけど(笑) ムネカミ そうですね、そもそも我々はパクスアメリカーナより先に、洋風なものに影響されてきているわけです。 だから僕は、パクスアメリカーナよりも先に、これら西洋文化圏による世界文化支配、パクス・エウロペアーナを糾弾するんです。 タカユキ 理論的につきつめれば、確かにそうならざるを得ないね。 ムネカミ まとめれば、実に簡単なことを言って来たわけです。「洋風=かっこいい!」になっちゃってるのがよくないんですよ。とはいっても、カッコイイもの、可愛いもの、おいしいものを捨てろったって、うまく行くわけありませんね。「アメリカの文化を捨てろ」とか、「西洋に靡くな」というのは… タカユキ それらを完全に排斥する。かつてのタリバンとアルカイダが支配するアフガニスタンのようになるかもしれないけどね。(笑) ムネカミ イスラム原理主義者はそうして失敗してきました。最も、彼らは我々よりずっとましでしょう。我々は怠惰なことに、その努力すらしてきませんでしたからね。 ではどうすればよいか。これは、「和風=かっこいい!」ということにさせれば、というより、そうすれば良いんじゃないですか。つまり、和風なものを現代人のお洒落に取り入れさせるんですよ。芸術的なアプローチが必要ですが。 タカユキ 日本の若者や「お洒落な人」が振り返るような国風美術体系を築くと? ムネカミ そう話すと馬鹿にされるんですが、それをからかう人たちにとって、もう和風なものというのはダサい、格好悪いものとしてあるんですよ。その感覚もまあ、今となっては普通なものです。 しかしそれは現状に即した感覚であるだけで、実際格好よいものが出来てしまえば、なんでもないんですよ。つまり、芸術や美術は、発展の度合いに絶対値のようなものがあって、今「和風」というと古く感じるのは、その発展が昔で止まっちゃってるからなんじゃないかと思うんです。 タカユキ 確かに和風といえば、僕は決して格好悪いとは思わないけれど、古いものという意識が確かに存在するね。 ムネカミ そもそも和風というのは日本的な芸術様式であるだけで、それだけで古かったり新しかったりするものじゃないと思うんです。だって、洋風だって新しいものも古いものもあるわけで、どっちかをさして洋風自体の新旧をおもんぱかるなんてふざけてますよ。 かりに和風は古くてダサいのだとしたら、それは和風を投げ捨てた我々日本人の責任でしょう。然るに、明治維新には大きな間違えがあったと言うのが僕の見方です。技術の取り入れはよかった。 でも洋風こそが真理ということになってしまったのは、反省すべきだと思うのです。技術にも美術にも新旧はあります。でも個々の美術様式は、独自に新旧を持った一つの美術体系であるから、和風より洋風が新しいなんてのは、そのときその瞬間までのことに過ぎなかった。 タカユキ いや、明治維新においては「和魂洋才」という事が盛んに言われていたから、その批判は当たらないんじゃないかな。問題はその後に「和魂」を忘却した人々にあるんじゃないか。 ムネカミ しかしそれにしてもです。今となっては、もう遅い。大正にはもう、洋風は定着しているんです。おかげでそこに、イギリスが台頭しようがナチスが覇権を握ろうが、アメリカにやられようがロシアが加わろうが、我々日本人はそれら全てを美術的に仰ぎ続けてきた。洋風なものを文明として受け入れるという、美術的な精神構造が媒体となって、我々はこれらの他者を実にスムーズに受け入れてきた。 大体われわれの洋風は、二番煎じに過ぎないのです。月が太陽の光が無ければ光らないのと同じように、オリジナルな文化の供給が止まってしまえば文化そのものが光らなくなるという、いびつな文化状態にあるのです。 タカユキ ヒトラーも『我が闘争』の中で、日本の文化とは我々西洋の文明がなくなれば、終局的には衰退消滅すると言っているらしいからね。 ムネカミ そのくせ、オリジナルが存在する限り永遠に他者のものという文化は、本来の文化を駆逐し、かき消し、いつの日か永遠の闇に葬り去るであろうことは想像に難くありません。身の回りから、畳のある家は消えつつあります。建築ではここ百五十年ずっと「和と洋の新たな調和」が流行ってきましたが、和だけで出来た家はもう、この地上に存在しないかもしれません。 「調和」と称して異国風なものを掛け合わせるのも、いい加減やめたほうが良いんじゃないかと思っています。メディアではうんざりするほど「○○と◇◇の調和」がもてはやされています。もう、純粋なオリジナリティなど残っていないにもかかわらず。 そして決まって、彼らの「国際的な視野」は、料理にしては和洋中、服飾、建築、装飾にしては、英・仏・露・独・伊・西・オリエント(トルコからあっち全部。「それ以外の何か」)くらいのものです。なんと貧困な世界認識でしょう。 しかし、今生きている人々のほとんどがこういう認識であるのなら、遠くない未来、世界は本当にこういうところになってしまうに違いありません。 国連に加盟した国が200だろうと300だろうと、この世にはパクスに成功した国しか無いも同然なのです。 タカユキ 僕の住んでいる部屋も畳は一枚も無いからね。そうして現在進行しているのは。掛け合わせに名を借りた文化の侵略とも言うべきものかな。我が国のオリジナル性は、こうしている間にも姿を消しつつあるわけだ。 そしてそういう時に、他文化と混ざり合い、取り込むのが、日本の伝統であるという主張が盛んに言われるけれど、そうした意見も他文化の侵略に対する敗北主義から生じる詭弁であると考える見方も必要かもしれないね。 ムネカミ ともあれ、我々は彼らの意思無き搾取から逃れなくてはならない。洋風のくびきから独立し、自主的な芸術を手にするのです。然るに僕は、「新しい和風」を手に、レコンキスタを行いたいんです。和風な近代都市を想像できますか?和風なファーストフードを想像できますか?和風なポップカルチャーを想像できますか?こうして、日本にあるありとあらゆるもの、分けてもかっこいいとか、かわいいといわれるものを中心に和風にしていかなければならないと考えます。 タカユキ レコンキスタっていうのはスペインの失地回復運動のことだね。そこから転じて、失われた民族や国家の独自性や主権などの回復も含めて使われるけど、君の場合は「新しい和」というものを提案することで、従来の失地回復的発想から更に一歩を踏み出しているように見えるなぁ。 ムネカミ 今ある最も理想に近い文化は、漫画・アニメ文化ですね。これはバカに出来ません。芸術の志向性としては、日本のそれそのものです。インクとペンが墨と筆になって、内容が和風になればもう完全な和風文化といって良いでしょう。 タカユキ 墨と筆になったら漫画とアニメが毎週見られなくなるぞ(笑) しかし、単純に考えて、日本の独自なるものってのはそうなんだなぁ。僕は以前から言っているけどね。製品加工技術も造船技術も東南アジアに越されて、これから先は半導体やロボット技術も越されるかもしれない。そうなった時に日本に何が残るかと言うと、万世一系の 皇室とアニメと漫画なんだな。冗談抜きで。 ムネカミ 具体的に、未来的に和風というのはどうしたらよいかということですが、こういう想定はどうでしょう。 もしそれが古くから日本に原型があって、外国の影響を受けず、楽器で言えば和楽器を進化させ、奏法も進化させて、今と同じようにかっこよさが追求されてきたら、今どんなものになっていたか。 これは美術・倫理的に日本式であれば、どんな技術が使われようとかまいません。「独自発展想定史」とでも名づけましょうか、そういう想定で「和風なもの」の進化を促進できるんじゃないかと思うのです。 「~風」というのは、美術様式に他なりません。「~」に「和:日本」がはいるなら、その比較の対象は「西洋」「中華」「メキシコ」なんかの文化圏になりますが、「パンク」「ワールド」「トランス」「民謡」とかいう風に音楽のジャンル認識もそこに含めます。 僕の理想はこうです。今、楽しまれている、慕われているものは、全て和の様式化する。これは一見されると多様性を欠くように思われがちですが、そんなことはありません。アンティーク調、ラテン的明るさのようなものから、テクノゴシック、サイバーパンクの世界まで、洋風という枠内での表現として認識されているじゃないですか。 それに、そもそも美術様式の好みというのは十人十色です。だから、一つの文明において美術様式が多様でないなんてコトありえませんよ。無ければ作れば良いんです。例えば和でゴシックを作るなら、重厚さと妖しさと独特の色調、尖りぐあいなどを掛け合わせるだけで、再現可能です。「イノセンス」の押井守さんは、同じことをやって作中に「チャイニーズ・ゴシック」とやらを発明しました。 タカユキ 押井守は「攻殻機動隊」で「謡Ⅲ-Reincarnation」って曲を作ったけど、あれこそ日本人に純然たる日本の音楽の発展を見せつけた物だと思うね。僕は基礎知識ゼロで聞いたけど、「あっ、日本だ!」と思ったね。しかも君が言う、発展した日本文化とね。 ムネカミ それから発展したことを言えば、我々もそういう美術的ジャンルに、大きな項目を発明してみるくらいのことはやりたいですよね。 タカユキ おっ、大きくでたね!でもそうだね。俺らがやんなきゃ誰がやるんだってね。このまんま放っといたら、日本は意味不明の英語が洪水にように氾濫して、日本文化は完全に溺死してしまいそうだもん。 ムネカミ そうでもしなければ勝てないものもある気がしています。例えば、和菓子はすでに、洋菓子に取って代わられています。日本の菓子は他の文明に比べて、かなり進んだ文化を持っていたことは間違いありません。 そしてそれは、かなり独自なものです。それはよいのですが、ヨーロッパの菓子のほうがもっと進んでいました。日本の菓子はお茶と一緒に食べるだけですが、向こうは楽しみ方からまず豊富です。料理の付け合せ、ティータイム用、パーティで出すもの、友達とだべってる時につまむもの、おもてなし用、年中行事の一部など…、種類の多さも際立ちますし、何より国民に愛されているゆえに今でも発展し続けています。 私は純粋に、今の洋菓子が大好きです。けれども私は国粋主義者なので、和菓子にも負けないようにがんばって頂きたい。 タカユキ 僕もクッキーとポテトチップスが大好きだしね。アメリカ嫌いを広言しておいて言うのも何だけどね。(笑) ムネカミ ドイツの鉄血宰相ビスマルクは、フランスのシャンパンが好きだった。 あるとき皇帝から「君は愛国者だろう。何故ドイツの物を飲まないのかね?」 と訊かれた。ビスマルクが答えて言うには 「陛下。恐れながら愛国心と舌は別物でございます」(世界史ジョークより) ビスマルク首相は良いことをおっしゃいました。愛国心と感覚は別物です。 しかしながら、皇帝陛下のおっしゃられたこともしかりでしょう。愛国心と感覚とが、出来るだけあっていたほうが良い。ですから我々は、我々の感覚にあうような和風文化につとめなくてはなりません。ですから、私は美術愛好者を募りたいんですよ。 タカユキ なるほどね。僕もビスマルク閣下のごとき側面が多分にあるから身につまされる話しだなぁ。(笑) しかし、そうした矛盾関係の克服は他人任せにしておくのみではなくて、我々自身がそうした矛盾関係克服に立ち上がらなければならないわけだ。そしてそれは同時に日本文化防衛のためであり、また、そうした我々の日本文化で世界を席巻してやるぞという意気込みでね。本日は有り難うございました。 記事に御賛同いただける方はクリックを!
by shikisima594
| 2006-03-25 00:04
| 対談・座談会
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