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 勉強会 台湾について
 先週行われた勉強会では、台湾についての基礎的な講義がなされました。陳腐な情報ではありますが、活動報告として掲載いたします。

 日本では、台湾は昔から高砂(たかさご)と呼ばれ、同じ字を高山とも宛てた。一方、支那ではこの島を琉球としたこともある。現在当地では「臺灣」が正式に用いられ、最も標準的な閩南語の発音ではTâi-oânとなる。国際的には、広く「"taiwan"」と認知される。

 人口は凡そ二三〇〇万人で、九州と同程度の大きさである。IMFによる国家GDP比較では、二〇位の経済規模を持つ。
 島は南北に長く、中央部の山地を平野が取り囲むような地形となっており、なかんずく西側の平野部が経済的に発展している。より国内の物流の効率を飛躍させるため、現在周囲の平野部を環状に新幹線で囲む計画が推進中である。この後には、東側の経済的発展が見込まれる。

 国家は、かつて大陸で中華人民共和国と対立した中華共和国(「中華民國」)の政権が正統とされる。しかしながら、実行支配地域は現在はこの台湾地域のみに限られ、中華共和国の指導的な北京民族と閩南系の一般民衆との間に民族的対立をはらみ、後者は台湾生命運動を活発にさせ、中華共和国の無効化を図っている。
 中華共和国の認識では、台北は臨時首都で、公式な首都は南京市である。本来の国土は現在のモンゴル共和国や中華人民共和国及びその占領諸地域にまで広がっている。公用語は、政府に中国語と規定されるが、これは北京語のことである。
 公式に国交のある国家は、太平洋に六ヶ国、アフリカに五カ国、欧州に一カ国、中南米とカリブ諸島に一三ヵ国である。いずれも経済規模の小さい弱小国家であるが、欧州の一カ国は、世界有数の影響力を誇るヴァティカン帝国である。

 民族は、二分ほどの原住民諸族がおり、これは言語学上、オーストロネシア語族マレー語派に高山諸語を独自に形成する。アミ人やツォウ人、タイヤル人などが有名である。だが人口が少ないため、ほとんど無視して構わない。
 残りの民族は、全て支那チベット語族の支那語派に属する諸民族である。まず、伝統的には閩南系のホーロー人(七〇分)と、客家人(一五分)がいる。とはいえ、少なくとも文化的な彼らの祖先は、台湾に定着してから四〇〇年ほどしか経っていない。台湾において、彼らは台湾の担い手とされ、特別に内省人と呼ばれる。そして六〇年ほど前に、党派紛争に敗れた国民党率いる北京人(一三分)が入った。
 閩南人は、現在は福建人と呼ばれる閩民族の一下位の集団である。閩南人のほかに、閩中、閩北、閩東人がいるが、それぞれ方言差が大きく、相互には通じない。台湾の閩南人は、大陸とは違うホーロー人であるが、海峡間で閩南語は通じる。客家人は、閩とは違う系統の民族で、華北文化の正統な担い手としての自尊心と、他者への警戒感を備えた排他性とをもった集団である。台湾では、普通閩南人社会に少数者として暮らしている。李登輝氏は客家人である。

 歴史を見れば、史前時代には太閤が使者を派遣したが、代表者が不在であったために朝貢を取り付けられなかったという話がある。大航海時代を迎えたカスティーリャ人のスペインは、この島にフォルモサという名をつけた。オランダは西暦1624~1661年にスペインと対立しつつ、この島を占拠した。
 その後、清帝国への反抗を掲げた明帝国の鄭氏によって、支配された時期があった。この時期までに、支那系民族の定住は進んだと見られる(西暦1662年~1683年)。その後、西暦1683年~1895年まで清朝により統治されたが、この間台湾は辺境の一地域にすぎないとみなされ、経済的な発展はほとんどみられなかった。
 日本による統治の時代(1895年~1945年)に、台湾は皇民化政策により飛躍的な経済発展を遂げた。このあたりは近年啓かれている。その後、大陸を追い出された南京国民政府が、1945年~1949年までに圧政を敷いた。民主化の流れから、台湾国民政府統治時代(1949年~1996年)があり、その後台湾総統選挙時代を迎えている。

 現在では台湾全土で国民党政権と公用語である北京語の使用が標準化され、その傾向は台北地域で如実だが、今尚社会の大部分は閩南系のホーロー人主体の本省人社会であり、そこではホーロー語すなわち台湾語が圧倒的に優性である。本省人は国民党政権自体の正統性を認めないことが多い。国民党は、本省人に対して弾圧をしてきたことがあり、それははっきり別の言語集団同士の民族間闘争の様相を呈した。
 国民党と北京民族は、大陸反抗を今でも願望として抱いており、台湾はその足がかりに過ぎないと考えるが、ホーロー人を主体とする本省人は、むしろ台湾が自分たち台湾人にとっての本土であるという意識を持っており、彼らの政治的意見は台湾独立派として、近年活発な展開をみせている。

 戦略的に、日本は石油の輸入をマラッカ海峡に接する諸国とフィリピン、台湾によっており、この経路をシーレーンと呼ぶ。この経路は日本の生命線であり、中華人民共和国の勢力下に入れてはならない。

 ムネカミ

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by shikisima594 | 2007-04-29 23:59
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